ビションフリーゼのヴィーは11歳と8カ月のときに、悪性のリンパ腫という病気になりました。2020年9月のできごとです。
この記事は、その日から始まったリンパ腫の治療を記録したものです。突然、病気になって、余命宣告され、治療することを選んで抗がん剤をスタートして、その副反応を体験しました。
悪性リンパ腫という病気に、どのように付き合っていったらいいのか?
病気の犬との毎日の暮らしの記録です。
のどに大きなしこりを発見
ものすごく気持ちがいいよ♪
毎日スキンシップしているつもりだったけど、その日の夜にのどを触ったら右側に大きなシコリがありました。悪い予感がしました。
ヴィーは丸顔にみえるビションカットをしているので、ふわふわした毛にごまかされてわかりにくいけど、しこりは確かな存在感で右側ののどにありました。
短い毛のワンコだったら、すぐにわかるくらいピンポン玉くらいの大きさがあります。
次の日に動物病院にいって診てもらうことにしました。
血液検査の結果は腫瘍の可能性大
動物病院の院長先生にヴィーのカラダを触る前に、右側にしこりがあると伝えます。
カラダに炎症があれば、リンパ節が腫れるので血液検査をしてみることに。検査結果を待つ間に院長先生にカラダを触診して調べてもらいました。
触診の結果は、ヴィーのリンパ節の腫れは3か所。
●右の下顎リンパ節
●左右のそ径リンパ節
多くのリンパ腫は、左右のあごの下と脇の下とそ径部の6か所にしこりのような腫れがでてくるそうです。ヴィーは3か所だけに腫れがでてきていました。
出典:ペット保険のFPC
血液検査の結果はそのしこりは「腫瘍(しゅよう)」の可能性が高いと診断されました。
そのときに院長先生からいわれたこと
犬は悪性しかないです
6週間もたないです
言葉を慎重に選んで、伝えてくれる院長先生の言葉をなかなか受けとめられず、カラダの芯の部分がブルブルふるえていました。
血液検査で腫瘍は確定しましたが、詳しい進行状態を調べるために、日を改めて病理検査を受けることになりました。
病理検査は腫れているリンパ節の組織を手術で切りとって、詳しく組織を検査する必要がある。治療のための抗がん剤も種類があるので、状態にあわせて投与するためだそうです。
今後はしっかりと治療計画を立てていくことになりました。このとき貧血がかなり進んでいたので、鉄のサプリを飲み始めます。
悪性のリンパ腫で余命宣告されました
病理検査のために朝から絶食。
11:00に手術するので入院。
16:30 手術終了して説明を受ける。
病理検査は動物病院ではなく、外部の機関で検査するので、結果が出るまでに1週間くらいかかるということ。
結果が出る前に、体調が悪くなったり、食欲がなくなったりしたら、抗がん剤を先行してはじめるということでした。
そ径部と右の首の2か所を1cmくらい切って、組織を取って縫いあわせる手術だったので、傷口をなめないようにエリザベスカラーをつけて帰ってきました。
首が太いからでっかいサイズのエリザベスしか
はまらないって言われたよ~(^^ゞ
病理検査の結果
動物病院から連絡がきて、結果を聞きにいきました。
やはり悪性のリンパ腫、またはリンパ性白血病という診断でした。この2つをはっきり見分けるのは難しく、治療法は同じということでした。白血病は予後が悪いそうです。
この日の朝からヴィーは全く水も受けつけなくなり、なにも食べなくなったことを伝えると、すぐに抗がん剤の治療を始めることになりました。
1回目の抗がん剤は1日入院です。
はじめての抗がん剤は1番弱いタイプのものを点滴で入れます。
内臓に疾患がある子は、抗がん剤で腎不全になる心配があるから、1日入院して点滴でコントロールしながら入れていきますということでした。あわせてエコーで腎臓と肝臓をみると大丈夫、腹腔に2か所2cmくらいの大きさの影がみつかったそうです。
抗がん剤は弱いものから強いもまで5種類あって、ローテーションで投与していくそうです。すべての犬に抗がん剤が効くわけではなくて、2割の犬には効かないそうです。
1回目の抗がん剤治療を無事に終えたヴィーは、院長先生にいわれました。
長生きする子は3年
だいたいの子は12ヵ月
なにもしないと6週間くらいの寿命です
抗がん剤の治療と激しい副作用
抗がん剤の治療は週に1回。動物病院に11:00につれていって、16:00におむかえ。はじめに血液検査をして、カラダの状態に合わせて抗がん剤の強さを選ぶそうです。
血液検査では肝臓の数値が悪く、白血球もものすごく多く、貧血という診断。
動物病院での点滴治療とは別に、毎日の投薬治療が始まりました。朝と夕方のごはんと一緒に処方された薬を飲む、これが錠剤の数が多くてすごく大変でした。
ドックフードにわからないように薬を混ぜても、全部みつけて吐き出すくらい敏感になっていました。
抗がん剤治療をはじめてから、ヴィーの行動がはっきりわかるくらい変わりました。
●ガツガツと食べる
●うんちの量が増える
●水を大量に飲む
●ソファの下にもぐる
●抱っこを嫌がる
ハァハァと息も荒くなることが増えて、薬がカラダに負担になっているように見えました。
おしっこがとまらない
抗がん剤治療のあと、薬の影響で水をがぶがぶ飲むようになりました。そのせいでおしっこの量が増えて、無意識のうちにおしっこがもれる状態。
床に寝ころんでいても、おしっこがにじんででてきて、お尻まわりが濡れる。部屋中に10㎝くらいの水たまりがいくつもできるようになり、おむつをしなくてはいけないくらいの尿の量でした。
水を大量に飲んでいるので、おしっこんの臭いはほとんどなく、透明な水のようなおしっこでした。
おしっこでカラダが濡れているので、ヴィーは申し訳なさそうにして抱っこされるのを嫌がるようになりました。
嘔吐と下痢と血便
1番つらかったのはドックフードを食べても吐いてしまうことでした。食欲はあるのに食べた物を戻してしまう。呼吸が荒くなって、ゲーゲーするので背中をさすっても苦しそうにしていました。
ステロイド系の薬を飲んでいるので、食欲は旺盛で便の出がよくなるそうです。
いつもより大きめの便が出たあとは、ペースト状の便になって、そのあと血が混じることが何度もありました。
食べたいけど、吐いてしまう。
うんちをしたくなると大騒ぎでソワソワして、残便感が残っているようでした。
毛が抜ける
ヴィーの特徴はふわふわした白い毛です。シングルコートのビションフリーゼは抜け毛のすくない犬種ですが、やはり抗がん剤の副作用で、毛が抜け始めました。
1番抜けたのは、リードをつける首から胸まわりの部分でした。リードをつけるとき、はずすときに擦れて毛が抜けるので、地肌が見えてきました。
しっぽの毛も木に引っかかった時に、30本くらいまとまって抜け落ちました。なので今までのふわふわしたシッポは、細いシッポになりました。
部屋を掃除すると、綿菓子のような毛のかたまりが1日にいくつも落ちています。
つらい薬は全部やめました
抗がん剤の副作用は犬もつらいけど、見守る飼い主もすごくつらいです。
ヴィーは余命宣告もされているので命の時間は限られているので、こんな状態を続けて少しでも長く生きてほしいというのは、飼い主であるわたしのわがままでしかないです。
動物病院の院長先生に、今のヴィーの状態をお話しして、つらい症状のでる強い薬は全部やめてもらうことにしました。
抗がん剤5種類のうち、ヴィーは強い2つにつらい反応がおきることがわかりました。それをやめると抗がん剤3種類のローテーションになるので、早い時期に薬が効かなくなって再発するといわれました。
犬には個体差があって、抗がん剤になんの副作用も示さない犬もいるそうです。全体の2割くらいの犬が副作用に苦しむそうで、ヴィーはその2割に入っていました。
この強い抗ガン剤2タイプを使わない場合、4~5が月くらい寿命が短くなるともいわれました。ただビションフリーゼはリンパ腫になりにくい犬種なので、データは少ないそうです。
副作用がおさまりました
強い抗がん剤をやめたらすぐにカラダに変化がありました。
おしっこの垂れ流しがとまって、下痢も止まって健康的な便になりました。ひさしぶりに私たちに平和が戻ってきた気持ちになり、心穏やかな時間にありがたさを感じました。
おしっこで黄色くなったカラダを、ひさしぶりにトリミングに行って、お手入れしてもらいました。病気で体力がないことと毛が抜けやすいことを伝えると、短時間でキレイに、抜け毛が目立たないようにキレイにしてもらえました。
めっちゃ可愛くなったよ♪
リンパ腫は治らない病気です。今は「緩解(かんかい)」という状態。完治していないけど症状が抑えられている状態です。病気になってしまったのは仕方がないけど、ヴィーと一緒に入れる時間を大事に過ごしたい。
今後も副作用を抑えながらの抗がん剤治療を続けていきます。
ワンコの健康チェックには、マッサージやスキンシップがとっても役に立ってくれます。こちらの本の巻末にリンパ節のマッサージ方法がやさしく解説してあるのでぜひチェックしてみてください。
リンパ節のマッサージはカラダを丈夫にして免疫力アップすることもできるし、ヴィーのようなリンパ腫の早期発見にもつながります。